経験の分散投資 ①

最初に断るが、俺は駐在として守られた形で中国に居る。現地に身一つで勝負している方々からは「そんなもん海外で仕事をしているとは言えない」と御指摘を受けるかもしれない。甘ちゃんでごめんなさい。ごめんなさいついでに、会社から派遣されてしまった人間として"海外で働きたくなる話"をしてみよう。

前半は"駐在神話"の実情を俺なりに思ったことを交えて書き、後半は"どんな形態であれ海外で生活してみるのも必要かもよ"という結論を"2050年"という未来から逆算して出してみたい。これを読んで、しょーがないから海外も考えてみるかという人が出れば、ちんむーのお題は達成ということか・・。


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海外(駐在)で働きたくなる話

1. 充実の福利厚生(お金溜まるよ〜、ホテル暮らしだよ〜)
2. 残業文化あまりなし(18時には終わってジムにいけるよ〜。ヨガでも茶道でもソムリエでも勉強する時間ありあまってるよ〜)
3. 話のネタが増える(ニースとかドバイとかで3年くらい仕事して帰ってきたらコンパでモテモテだよ〜)


という話をされたら、疑うことなく俺は海外で仕事をしてしまう。


上記の話を見て、いいなーと思えるのはそういう妄想にふけるチャンスがある人だと思う。逆に嫌な気持ちになった人、顔をしかめた人は残念ながらこの瞬間には目の前にそういうチャンスが転がってなく、理不尽な上司と顧客に挟まれ毎日汗をかいてる人たちではないだろうか?(どーでもいいという人は、すでにやりたいことに邁進している人たちだと察する。幸せなことだと思う)

同じ・・・だ。今、中国の日系企業で仕事をしている現地スタッフの各位は少なく見積もっても自分の給料の5〜20倍の給料を貰い、大きな家に住んでいる駐在員の横で仕事をしてモチベーションを下げてる。

最初の1〜3は今となってはかなり極端だが、30年前くらいの大手日系企業はどこも同じような状態だった。日本人も多くない街に単身で赴任し、帰国は年に1度あるかないか、Emailや電話で気軽に連絡を取ることも出来ない。そういう人たちに「これだけやるから勘弁してね」と。また、そういう日本人に「遠い国から技術も持ってきてくれるし、羨ましいけどまぁしゃーないわなー。俺も長くやってればいつかあぁいう風になれるかもしれんしなー」と現地の人たちも略納得していたのではなかろうか。

勿論、こんな格差が長く続くはずはない。オイシイ駐在員の横で汗を流す自分達のキャリアに余地がないこと(キャリアの余地=発展空間と表現します)、加えて日本本社の役員が変わる都度に変更される不明瞭な人事評価制度を5年も見れば「俺っち英語も日本語も喋れますよ」となんちゃらまんサックスとか、ほにゃにゃらスタンレーのドアをノックにし行くのは道理だろう。優秀な人材に踏み台にされてきた日系企業はようやく極端な格差を是正し、邦人・現地人を(なるべく)隔てなく競争のボウルにいれてみようとしている。


だから今日考えるのは「オイシイ餌もなくなってきたのに、今一度あえて海外でチャレンジしたり競争したりする意味ってあるんですか?」というところから始めなければいけない。もはや海外薔薇色論を説くことは出来なさそうなので、日本以外で生活したり仕事してみた経験もあったほうがいいかもねーという軽い調子で考えてみようと思う。(続く)


※ちなみに学生時代にいわゆる外資系の金融機関等をあまり受けなかったのは、一日20時間労働でエクセル・パワポと格闘しているのに、提出先の青い目の駐在上司が月200万円のアパートで夜な夜なパーティを開いているなんて許せない! という超一方的な思い込みだった。(横文字系の皆さんごめんなさい)しかし、日本で石油系某外資トレーダーと話をしていたら、あながち間違いでもなく、その待遇格差を嘆いていた。まぁ、俺が受けていたところで受かるはずもないのだけど・・。