インド所感

記事にした『インドで見たもの』のインド出張から二度目のインド滞在だった。ムンバイとプネーを回ったが、刺激の多い日々だった。以下所感。


○インド人
自国に対する自信(その裏にある過信):滞在中10人以上のインド人の方と時間を共にしたが、若者人口がとても多く2050年には人口16億人になり世界一になる可能性があること、一人当たりGDPが1000ドルを超えたことなど自国の発展に対して大変な自信を持っている発言を聞けた。ただインド人は大きな風呂敷を広げすぎるということも特徴らしいので発言の内容が自信なのか過信なのかは見極めが必要だ。


味覚:いつもからいものを食べているせいか、薄い味よりはっきりした味を好むそうだ。めちゃめちゃ辛いかめちゃめちゃ甘い食品が受けるとのこと。日本食の雰囲気は好きだが薄味が多い味付けはあまり、、という人が多いのが実情だそう。


間接的な表現方法:中国人に比べて回りくどく商談をしてくる気がする。率直ではなく、色々話して話して最後に契約の話に持っていくという風である。中国だとまずお金の話をする場合が多い。


優しい人が多い:今回滞在中はずっとインド人の知り合いの車での移動だったのだが、道が分からなくなる度に車を停めて近くにいる人や隣に停まっている車の中の人に道を聞いていた。道を聞かれた人はほぼ全員が丁寧に面倒臭そうな顔をせず道を教えてくれた。お互い助け合いましょうという雰囲気を感じた。


国産品愛用精神:“いのちの経済に目覚めなさい”マハトマ・ガンジーの言葉だそうだが、ガンジーは人々の自立を促し、伝統技術を残していくためイギリス製の絹製品を着ることを拒否し、自ら糸車のチャルカ(自治・自立の象徴)を回して自分たちの手で絹布を作っていくことの大切さを説いてまわった。人々はガンジーのこの思想を尊重している。時代は変われどその精神は残っておりできるだけドメスティックの商品を作りたいという気持ちの強さを感じた。

プネーのガンジー記念館



○インドという国
近隣諸国との関係:コラバエリアにはインド門という場所がある。TAJホテルという5つ星ホテルもあり観光の名所となっているが、つい3年前2008年11月26日にイスラム過激派と見られる勢力に銃撃、爆破され多数の人質がとられ死者も出た同時多発テロが起きている。人口10億人以上、多民族、多宗教が絶妙なバランスを保ちながら共存しているが、3年前の事件の話を聞くとそのバランスが揺らぐこともあるということ想定してしまう。

インド門:テロリストはここに船で着き市内に侵入した



○特有の文化
食事の時間夕食は遅め。一日五回?:地域により違いはあるが、全体的に食事をとる時間が日本より遅いそうだ。ムンバイでは朝を食べてお昼は13時ごろ、夜は20時〜21時くらい。18時ごろにレストランに行ってもまだお客がほとんどいない。朝と昼と夜の間に一度間食を摂ることも多いので人によっては一日五回食事をするそうだ。


お酒は21歳から:ムンバイではお酒は21歳以上。また州によっては禁酒の州もある。


牛は神様:ヒンズー教では牛は神様の乗り物として神聖なものにあがめられている。そのためムンバイ市内でも牛が公然と歩いている。人々はその牛を邪魔だと思うことは無く、ありがたいものだととらえており人によってはその牛を飼っている人にお布施を渡しその代わりに牛を触らせてもらったり、餌(バナナ等)をあげていた。車で牛を轢いてしまうものなら大変な事件だそうだ。

写真は切れてしまっているが牛の向かいで座っているおばさんにお金を渡しバナナを牛に与える人。



○近年の発展
変貌を遂げる街:ムンバイ、プネーを回ったが、五つ星ホテルやショッピングモール、マンションが次々と建設中だった。二年半ムンバイに住んでいる日本人の方によると、街の景色がどんどん変化しているとのことだった。上海もそうであるが次の訪問の時にはまた街の姿が変わっているだろう。


近代化する生活:ある50代のインド人の方からおもしろい話を聞けた。「20年前私がお酒を飲むと両親は私を強くしかった。しかし今21歳の娘を私は持っているが、娘が色々なお酒の種類を知っていることに驚かされている。私は娘を怒ることはなく、ただ娘を取り巻く近年のインドの発展驚いている。」若者の生活は多彩になっている。

街を走るランボルギーニ


○社会問題
高コスト体質(ちょうど滞在中大手国内航空会社キングフィッシャーの経営体質が高コスト体質で財政難に陥っているというニュースが一面だった。)、肥満問題(街には本当に肥満の人が多かった)など社会問題が存在する。ただインドは多くの課題を抱えつつも活気にあふれている。まさにこれから飛躍しようとしている国だ。


最後にインドでよく目にしたインドボダイジュ(印度菩提樹)の写真。

鳥に運ばれた種子がほかの木の上で発芽し、たくさんの気根を伸ばし、成木の幹は融合した多数の気根に覆われて、非常に太くなり何千年と生き続ける木だそうだ。

伝統の継承を象徴しているような木で見ていると何か心が落ち着いた。